技術概要

鼻の粘膜から採取して作製する「鼻腔粘膜細胞シート」

 難治性中耳疾患の一つである中耳真珠腫は、難聴、耳漏、めまい、顔面神経麻痺などを引き起こす病気です。この病気は手術が唯一の治療法ですが、従来の手術を行うと多くの正常な中耳粘膜が失われることが多く、手術後の後遺症である病気の再発や聴力の低下を来たします。

 そこで私達は、患者さん自身の鼻の粘膜を利用して作製した細胞シートを移植することで、中耳粘膜を速やかに再生させ、手術後の治療成績を大幅に向上させる新規治療法を開発しました。鼻の粘膜の採取は耳鼻咽喉科医であれば容易に採取でき、鼻腔粘膜細胞シートは中耳粘膜と似た構造をもちます。

進捗状況

 2014年より東京慈恵会医科大学で臨床研究を開始し、高い有効性と副作用・合併症がないことを確認しました。

 さらに2021年11月より、東京慈恵会医科大学、聖マリアンナ医科大学との多施設共同研究として、医師主導治験を開始しました。この試験により、安全性および有効性を確認することを目指します。有効性および安全性が確認できれば、耳鼻咽喉科領域で日本初の再生医療製品として製造販売承認を取得する予定です。